〜正しく怖がり放射線から身を守るために〜
福島第一原発の爆発によって、首都圏にも大量の放射性物質が降り注ぎました。
これからは、埼玉に住む子供も大人も、放射性物質による被ばくという生活環境を前提にして、暮らしていかなければなりません。
そこで、「市民の医療ネットワークさいたま」としても、医療と健康の視点から、放射性物質や被ばくに関わる情報を整理して、分かりやすく発信して、埼玉での暮らしに役立つようにしていきます。
α(アルファー)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線、X線などがある。

(1)アルファ線...ヘリウムという水素に次に軽い元素の流れで破壊力が強い。飛距離は空中で数cm、生体内で0.1mm以下。まわりの4〜5個の細胞を被ばくさせてガン化する。内部被ばくが問題となる。
(2)ベータ線...高速の電子の流れで破壊力は中程度。生体内の飛距離は1cm以下。内部と外部被ばく両方が問題となる。
(3)ガンマ線...電磁波(光の一種)ですが普通の電波より強いエネルギーを持ち、紙も金属も通り抜ける。X線と性質は同じ。外部被ばくが問題となる。
民間人が年間1ミリシーベルトと決められているのは、それを超えると1億人に5000人ぐらいがんになるからです。交通事故やその他の社会的なリスクから見て、国際的に我慢できる値だということでICRP(国際放射線防護委員会)が決めて日本が受け入れています。1年に1ミリなら誰でもどこでも安心できるということです。放射線作業従事者が年間5ミリや緊急時に200ミリと引き上げられるのは、そのメリットをみて決めているのです。
文部科学省は年間20ミリまで安全と言っていますが、ICRPが原子力事故のときにやむを得ず安全だと決めた値であって、短期間で1年1ミリにする努力をして、個人に具体的に利益がある場合に限って認めたものです。これを1年の時間当たりにして、3.8マイクロなら大丈夫としたことには根拠はないのです。被ばくする子どもたちに何らかのメリットはあるでしょうか?
自然界の放射線は1.5ミリなので、現地の放射線量はそれより低いという報道があります。自然放射線に備えて人間は、防御して進化し人口が増加してきました。人口放射線に対して人間は弱く、自然放射線にプラスされることがない被ばく限度を1ミリと決めたのです。
被ばくを低く抑える基本は次の3つです。
(1)離れる
(2)時間を短くする
(3)身に付かない(吸引しない)ようにする
距離に関しては、限定された場所から放出されれば距離の2乗に反比例するのですが、今回のように周辺がすべて汚染されていると単純には減少しないようです。
被ばくには外部から放射線を浴びる場合と、体内に取り込んで内部から浴びる場合がある。
空気や地面から浴びている放射線量は、CT検査や航空機にのったときの値と比較して、いかに小さいかということが報道されています。被ばくの単位のシーベルトは1時間当たりなので、これを滞在する時間をかける累積した線量が問題となる。たとえ1マイクロシーベルトでも1ヶ月なら24*30=720倍となり0.72ミリシーベルトになるので、国際基準の上限の年間1ミリに近づいてしまいます。
内部被ばくとなるとからだの表面近くに放射線測定器をあてて測定しますが、限度をこえていたらシャワーなどで洗浄できればいいのですが、体内に取り込んでいたら自然排出されるのを待つしかありません。臓器によってどんなものが取り込まれるのか示したのが下記の図になります。
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聞きなれない物質名が出てきますが、この中で重要なものは、
(1)ヨウ素131
ガンマ線を放出、半減期8日 空気中から吸い込むか食品から取り込む、成長期の胎児・乳幼児にて取り込まれることが多く、甲状腺がんの原因となる。40歳以上の大人ではほとんど取り込まない。生物学的半減期は120日。核燃料から放出される量が多く放射線が強いが、影響がなくなるには2〜3ヶ月かかる。
(2)セシウム137
ガンマ線とベータ線を放出、半減期30年 カリウムと同じアルカリ金属の物質なので植物は養分として取り込みやすく、植物を食べる動物へ移行し濃縮される。筋肉や生殖腺などに集まる。生物学的半減期は110日なので体内に取り込んでも約4ヶ月で半減する。
(3)ストロンチウム90
ベータ線を放出、半減期29年 ベータ線は粒子の流れなので分析されるのに1週間かかるためあまり公表されない。人間にとって重要なカルシウムと同じ仲間の物質なので、骨に集まる。生物学的半減期50年。造血細胞である骨髄が近く、ベータ線は弱い放射線だが距離が近く長く被ばくするため、白血病になる。放出される量はセシウムの1割程度だが、非常に危険な物質
(4)プルトニウム239
アルファ線を放出 半減期24100年と信じられないほど長期 生物学的半減期は骨で100年だが人間の寿命からみたらほとんど無限 肺に取り込みやすい 放出量はセシウムの0.1%ぐらいだが、今回は3号炉で燃料としてウランと一緒に混合して使用していたので環境への放出が心配
政府が発表した「ただちに影響ない」とは、直接浴びる放射線量では影響がないという意味であり、急性障害を与える量250ミリシーベルトのことを意味しているようです。体内に取り込む放射性物質から受ける被ばくでは、影響は個人差が大きいのですぐがんなどに繋がらないと言ってるに過ぎなく、数年後の影響についてはわからないということになります。
下記はチェルノブイリ事故の時、隣国のオーストリアにおける被ばくを模式図にしたもので

これを見ると80%以上が食品からの被ばくであり、乳製品の比率が低い日本では、魚からの摂取に注意が必要になります。
飲み水からの被ばくは、一時ペットボトルがなくなるほど騒ぎになりましたが、全体で見ると少なくなっています。
厚生労働省が設定した品の暫定基準値は2012/4/1より改定されました。一般食品は500から100ベクレルと非常に厳しくなり、乳児用食品はさらに半分となりました。
チェルノブイリ原発事故後のヨーロッパの汚染食品規制は、370ベクレル/kgでしたが、ヨーロッパの医師たちは乳幼児に対してはその10分の1の37ベクレル以下にすべきだとし、オーストリアでは乳幼児食品は11ベクレルにしていました。
さらに福島第一原発事故後、ドイツ放射線防護委員会は、それよりさらに低い値にすべきだとして、乳児・子供・青少年は4ベクレル/kg、大人でも8ベクレル/kg以下のセシウム137を含む飲食をしないよう提言しているのです。ここに厳格な規制を適用すれば、食べ物が足りなくなる恐れがあるため、基準値を上げているというのが実態です。
生協、民間NPO、各自治体では独自に放射線測定器を購入し、食品の放射線測定を行っています。東京都武蔵野市は学校給食で2.2ベクレル/kg検出された埼玉県産豚肉を使いませんでした。
産地をよくみて注意するべき点は
(1)ヨウ素は水で洗い流せば野菜はかなり落とせる。
(2)セシウムは食物連鎖で濃縮される。集まりやすい食物がある。
a.牛乳よりチーズ、バターがあぶない
b.シダ類(山菜のコゴミ)、シイタケ(乾燥したものはさらに濃縮される)
c.玄米(2011年産以降、ぬかの部分に貯まる)
d.木の実(ナッツ、ブルーベリー)
e.貝と中型魚(小魚を食べるスズキなど)・大型魚の今後の調査データに注目、コウナゴは今は検出されているが今後下がってくる。海水魚より淡水魚が値が大きい。淡水魚のほうが湖や川に堆積したり、周囲の土壌に積もったセシウムが雨で流れ込み、体内に取り込まれる。ワカサギ、フナ、アユなど。
f.麦は今後の調査データに注目、チェルノブイリ事故時ヨーロッパの小麦が汚染され毎日食べるので問題に。
g.緑茶は2011年産は静岡茶まで検出された。規制値が下がった2012年産に注目
h.回遊魚は今後の調査データに注目(下図参照)

長期摂取による体内蓄積がどういうなるか、日本が規範としているICRP から2009年に出ている内部被ばくの資料です。
1日10ベクレルを毎日食べ続けると800日目以降に1400ベクレル以上のものが長期間、慢性的に身体の中に存在するようになるという資料です。チェルノブイリ原発事故で、セシウムの人体への影響を精査したバンダジェフスキー博士の報告によれば、体重15sの子どもが750ベクレルのセシウムを蓄積すると命に関わると警告しています。
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放射性物質検査で新規制値を超過した食品
イモ類は比較的高く、葉物野菜は低い傾向。粘土質だとセシウムが植物に移行しにくく、砂質では移行しやすいなど、土壌によって異なることも海外のデータでわかってきた。
2011年6月8日現在

(1)さいたま市の主婦が自腹で幼稚園の園庭の放射線量を測定。3.2ベクレル/cm2となり管理区域指定となる基準の4ベクレル以下ですが、幼児の被ばく限度を一般人の3倍とすると、2.5倍の被ばくとなり、空中や食材からの内部被ばくを考えると、表土を少し削った方が安全である。
(2)埼玉県内39市が空間放射線量を測定(7/5現在)、春日部市も8月以降開始を発表。40市すべてが測定を行う。結果は市のホームページで公表している。
(3)埼玉県は空気中、ちり・雨、水道水、下水・汚泥の放射線量を測定しています。ただし空気中の測定はさいたま市桜区の4階建ての屋上データであるため、実際人が被ばくする地上近くでないので、2倍〜3倍とみたほうがいい。
埼玉県はこちら → http://www.pref.saitama.lg.jp/page/housyasenryou.html#2
(4)埼玉県は7/7〜7/14に幼稚園や保育所、小中学校など116箇所。県内を6km四方の区画に分け、市町村ごとに最低でも小学校1校が入るようにした。地表から5cm、50cm、1mで測定
結果はこちら → http://www.pref.saitama.lg.jp/page/sokutei.html
これに対し放射線の研究者が独自に野外の地上1mのところで測定したデータがホームページにあります。
全国環境放射線モニターリング →http://www.geocities.jp/environmental_radiation/
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魚たちの嘆き〜海洋と河川や池の汚染の実態
福島県沖の水産物に影響が出始めた。9月以降の水産庁の調査で、蓄積された放射能が暫定規制値500ベクレルを上まった魚は下表の通り。シロメバル、クロソイの2000ベクレルを筆頭に、アイナメやヒラメ、イシガレイ、アユなどうまい魚から高濃度のセシウムが検出されている。この以前でも海上近くに生息するコウナゴ、シラス、海底近くのムラサキガイ、ホッキガイ、ウニ、モズクガニも同様に汚染されていた。水が滞留する池に住む魚は汚染が蓄積される。栃木県でもワカサギで中禅寺湖、みどり市草木湖でそれぞれ175、189ベクレルと高い値となり、那珂川町のアユも193ベクレルと同様な傾向となっている。
また、群馬県では赤城山頂にある大沼のイワナ、ワカサギ、ウグイが規制値を超えた。桐生市の梅田湖ではワカサギで222ベクレルだったが、片品村丸沼、下仁田町荒船湖、嬬恋町バラギ湖では検出されていない。放射能汚染マップで影響が群馬県まで及んでいる結果が出ている。
回遊魚であるサンマは北海道で水揚げされた分は規制値超えになっていないが、漁業者は原発から100キロ以内の海域での操業禁止を決めている。

河川の河口付近での海底でセシウムの濃度が上がってきています。福島市内を流れる阿武隈川河口は宮城県ですが、まず高濃度汚染は間違いないでしょう。茨城のひたちなか市沖で380ベクレル/kg、東京湾の荒川・江戸川河口が872ベクレル/kgという高い値が出ています。東京湾の汚染はシミュレーションによると、2年後くらいが汚染のピークで、その後も10年近く汚染は続く。つまり東京湾で獲れた魚は、これから値が上昇してきます。
2012/1/15に放映されたNHKスペシャルにて紹介されました。詳しくはこちらを参照願います。http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-550.html
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チェルノブイリ原発事故から学ぶ〜ロシアの小児血液・腫瘍・免疫センター長の報告より
11/18に行われた千葉で行われたシンポジウム「チェルノブイリと小児がん 命と絆を守る」で講演したアレクサンドル・ルミャンツェフ教授のお話しの概要です。
ベラルーシとウクライナ(旧ソ連)に国境を接したロシア・ブリャンスク州で、原発事故前の68〜86年に甲状腺がんを発症した子供の数は10万人当たり0.4人だったがm事故後は同8.5人に増加した。小児甲状腺がんの特徴は、被ばく後の最短潜伏期間は5年、男児と女児では発症率に差はほとんどない、発症年齢は3歳以下と15〜18歳にピークがあった。
2009〜10年にベラルーシで行われた調査では、子供たちの内部被ばくがまだ続いていることがわかった。汚染された野菜や肉、魚などを食べたことによるセシウム137の体内吸収を調べた。汚染地域に住む543人の子供を調べたところ、平均で約4500ベクレルの内部被ばくがあり、7000ベクレル以上の被ばくがあった子供が17%に上った。この地域はもともと自然界のヨウ素が少ないため、甲状腺にはヨウ素がたまっていない状態だった。このため事故で大量に飛散した放射性ヨウ素131を体内に取り込みやすい環境にあった。ベラルーシで03年に死亡した子供と成人の心臓や脳、肝臓など八つの臓器を調べたところ、すべての臓器でセシウム137が見つかった。甲状腺にはヨウ素だけでなくセシウムも多く集まることも分かった。各臓器で子供の方が圧倒的に高いセシウムの吸収量を示し、甲状腺では大人が1kg当たり約400ベクレルだったのに対し、子供は3倍の約1200ベクレルに上った。
事故から25年という長期間を経てもなお内部被ばくが続いているのが実態だ。被ばくしたがん患者では血液中の活性酸素の濃度が高くなっており、濃度を下げるにはビタミン剤の接種が有効であった。日本の子供たちも汚染されていない食品をとるとともに、ビタミン剤を接種して、年2回は検診を受けることを薦める。ロシアのように3か月間、クリーンな地域に子供たちを連れていくのも一つの考えだと思う。
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