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01.8.4 |
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●脳ドックを受けるきっかけとなる動機
1.身近な人が脳の病気で倒れ、私は大丈夫だろうかと不安になった。
2.最近物忘れがひどいため、自分の脳の機能に対して漠然とした不安がある。
3.自分の脳がどのような状態か知りたい。
4.医師あるいは病院から勧められた。
●脳ドックの目的
主に、脳動脈瘤(脳血管のコブ)を早期に発見し、くも膜下出血や脳内出血を来す前に処理することを目的とする。偶然に、脳梗塞、脳腫瘍などの病変が発見されることもある。
●脳動脈瘤の話
破裂脳動脈瘤は毎年人口10万人に対して20人位に発症しているとされるが、未破裂脳動脈瘤の正確な頻度は明らかでない。従来より、くも膜下出血患者の1/3が死亡、1/3に脳機能障害が残り、残り1/3が社会復帰できると言われていたが、昨今の診断能力と治療技術の進歩により、社会復帰率は急速に改善しつつある。
未破裂脳動脈瘤は年間2%の確率で破裂すると言われていたが、正確な破裂率は不明であり、現在調査中である。破裂しやすい脳動脈瘤、破裂しにくい脳動脈瘤が存在すると言われているが、現時点ではそれを識別する方法はない。
従って、ある程度の大きさの脳動脈瘤が発見されると、多くの脳外科医は脳動脈瘤を処理することを勧める。
動脈瘤を処理する方法としては、開頭クリッピング術とコイルを用いた血管内手術の二つの方法がある。
●脳ドックでおこなう検査
1.MRI...核磁気共鳴装置を用いた脳断層撮影
強い磁場の中で特定周波数の電波で共鳴現象をおこさせて作った脳の断層画像。あらゆる角度の断面の脳断層画像が得られる。
2.MRA...核磁気共鳴装置を用いた脳血管撮影
核磁気共鳴装置を使用して脳内血管だけを抽出する撮影手法。通常の脳血管造影よりも非浸襲性で安全な検査であるが、解像度(描出可能な血管)には限界がある。
3.CT...コンピューター断層撮影
X線を使用して、体の組織の吸収値の違いをコンピュータで計算させて作った断層画像。解像度ではMRIに劣るが、検査時間は早く、頭蓋内出血急性期の描出には優れている
三次元コンピューター断層脳血管撮影(3D-CTA)はここ数年で発展してきた撮像法で、造影剤を静脈注射して脳血管を選択的に描出する。
MRAで発見できなかった脳動脈瘤が3D-CTAにより発見できることもあるので、MRAと相補的に使用するとよい。
●脳ドックで留意すべきこと
1.直径4mm以下の小さな脳動脈瘤は発見できない場合がある。
2.MRI装置の性能(磁場強度)により画像解像度に差がある。
3.画像の質は撮像法や検査技師の力量により左右される。
4.脳ドック検査により何らかの病変が発見される可能性を常に念頭におき、心の準備をしておく。
●手術をすすめられたら
1.冷静になる。
2.担当医の話をよく聞く。
説明の内容が理解できなかったらセカンドオピニオンとして他の医師の話を聞くのもよい。
3.治療方針を決める際に重要となる患者側の因子:
患者の年齢、患者が持つ基礎疾患と全身状態、合併する脳疾患とその程度、本人及び家族の治療に対する意欲及び死生観など
4.治療方針を決める際に重要となる医師側の因子:
外科医としての力量、医師の手術に対する姿勢、医師の年齢、病院の専門性、病院の規模と設備内容など
●手術の選択をする際に留意すべきこと
1. 誰が執刀するのか。
当然ながら、執刀する外科医の力量により結果は左右される。執刀医の経験と手術成績を確認すべきだが、外科医を評価する基準と、医師の情報開示がない現状ではなかなか難しい。
2.どの病院で手術するのか。
脳外科診療はチーム診療であるため、病院全体の診療システムのレベルが重要。大規模病院だから優れているとは限らない。ベテランがそろった中規模病院のほうが手術成績が良い場合もある。ここでも病院のレベルを評価する基準と、病院の情報開示がないのが問題。
3.手術の難易度
動脈瘤でも脳腫瘍でも、存在部位と大きさにより手術の難易度は異なる。難度が高いほど、治療法、医師、病院の選定が重要となる。
4.手術に伴う合併症を理解する
100%成功する手術はありえない。手術に伴う合併症や成功率に関する話をよく聞き、手術するか否かを判断すべき。簡単な説明、楽観的な説明のみで手術を行おうとする医師は敬遠したほうがよい。
5.手術により何を達成するか
手術により何を達成するかは患者個人個人で異なる。患者の年齢、全身状態、基礎疾患の有無、職業、家族環境などを総合的に勘案しながら、担当医師と事前によく相談し、手術により何を達成するかを決めておくべきである。手術をしないという選択が妥当な場合もある。