もし乳癌と言われたら
中澤さんと南澤さんのお話の概要
イディアフォーの活動の第1の柱は、インフォームドコンセント(説明と同意)です。
乳ガンというのは、治療法にも種類があり、その治療法を選ぷ時間もあるガンです。そういうことを知らないがために、自分の望まない治療法を受けた例がたくさんあります。ですから、医者は、乳ガンにはどういう治療法があり、そのメリットとデメリットをきっちり説明して、患者も納得した上で治療法を選ぶということを、もっと徹底するよう強く主張しています。
第2の柱は、医療情報の収集、提供、発信です。
乳ガンの治療法が主ですが、各病院ヘアンケートを出したり、ホスピタル探検隊等で、どこの病院がどんな乳ガン治療をしているのか調べています。そしてそれをまとめて、年4回のイディアフォー通信で発信するとともに、マスコミなどを通じて、積極的に発信・提供しています。
■南澤貞子さんのお話■
私は乳房をバッサリ切られたんですが、今考えると、情報不足で切られたわけで、情報が早ければ絶対温存療法で助かったと思います。
90年の秋に、練馬区の医師会検査センターで、横0.4センチ、縦0.8センチのガンが見つかり、医者に「大学病院かガン研に行ったらどうか」と言われました。
交通の便がいいので、ガン研を選んだのが運の尽きでした。マンモグラフイーをとって、「何でもない」と言われた。他で珍てもらえばよかったのに、自分でもいい方に解釈して、信用してしまった。1年後に行ったら「急に大きくなったから手術しましょう」と言われた。入院前に何の症状もないのに胃ガンの検査をして、入院したら全然違う医者がきて、手術の前に家族を呼ぷように言われた。
私も一緒に話を聞こうとしたら、「患者は病室で待っていなさい」言われ、疑問をもちながら待っていた。全身肺酔をして手術したが、自分がどんな手術をされたか分からなかった。
手術後2年たって、急に「大腸ガンの検査をしよう」と言われ、死ぬような苦しみの検査をした。なにか患者をモルモットにしているみたいで、「もう命が危ない」と思って、ガン研に行くのをやめた。
そのあとでイディアフォーの代表と出会って、はじめて温存療法を知り、また自分が受けたのが非定型手術だったことが分かった次第です。リンパまで取ったので、5年たった今でも左が腫れています。はじめから温存療法でやれば人生が変わったのにと、今でもガン研を恨んでいます。
結局は、情報が足らなかったからこんなふうになったので、今は地域で乳ガンの情報を広げています。
■中澤幾子さんのお話■
しこりを発見したのは93年の7月。たまたまさわってゴロッとした。「痛いからガンじゃない」と安心しようと思ったが、「えくぼがあるとガン」だというし。困ったのは何科に行けばいいのかわからなっかたこと。
保健所に聞いて、とりあえず外科にいった。さわっただけで「悪いものだと思います。2.5センチとかなり大きいのでおそらく乳房を取ることになります」と言われた。その日はマンモグラフィー(のしオッパイみたいでものすごく痛い)をやって、超音波検査は月曜日ということになったが、土日は雲の上を歩くようなショック状態だった。
温存療法については、その2〜3年前に朝日新聞で読んでいて、慶応の誰かがやっているということが頭のすみにあった。たまたま買ってあったクロワッサンにイデアフォーのことが載っていて、イデアフォーに電話したら「体験集」を読みなさいと言われて徹夜で読んだ。
慶応の近藤誠先生に診てもらえることになり、検査の結果「2.5センチには見えない。温存療法でいける」と言われ、その検査結果をもって近藤先生に会ったら、「ガン」と一言。「どうする」と言われたので、仕事を休んで治療に専念する気でいたら、「急に大きくなることはないので、都合のいいときでいいんじやない」と言われた。
手術は、雨宮先生がやるわけで、梅干しみたいにガンを脂肪でくるんでくり貫く。その後に散らばってる微小ガンに放射線をかける。2グレイを25回、人間に副作用がなくガンに効果のあるギリギリのラインである50グレイ。そして、血液中を回っているガン細胞を殺すために、即、抗ガン剤を入れる。
抗ガン剤の1クールは1か月かかる。その頃は4クールが相場で、4クールやると年内かかるので、「年内は仕事を休む」と言ったら、「何のために休むのか」と言われた。アメリカでは、職場から車で来て抗ガン剤治療をしてさっと帰る人もいるとのこと。
手術は8月のお盆明けにした。手術時間は45分。肩に肺酔してほろ酔い状態になってから全身麻酔。手術後は抗ガン剤の点滴をしているが、トイレも自分でいける状態。次の日に、慶応に放射線治療を受けに行くのに、リュックを背負って出かけた。(手術前後はNHKが取材)
温存療法でも、病院によってはリンパを取るところがあるが、「抗ガン剤治療をやるなら同じなので取る必要はない」というのが、近藤先生の考え方。
私の友人でも「取り残しがあるかもしれない」という不安があって全摘出手術を受けた人もいるし、仕事があるために5週間通院が必要な温存療法を取らなかった人もいる。手術法の選び方は人それぞれ。
私の場合は、退院3日日くらいで、仕事で肉体労働をしたがつらくなかったし、見た目も傷は線が1本あるだけで、自分でもガンの手術をしたことを忘れられるような利点もあり、温存療法を選んで良かったと思っている。
以上がイデアフォーのお二人のお話の概要ですが、中澤さんはたまたま温存療法のことを知っていて、乳房を取らずにすみ、南澤さんはそうした情報を一切知らなかったために、温存療法ですむところを非定型手術で乳房を切除されてしまったわけです。
やはり、私たち市民一人ひとりが「情報を共有する」ことと「自分で納得のいくまでインフォームドコンセントを行う」ことが大切だと思います。「市民の医療ネットワークさいたま」も、そのためにさらに活動を広げていきたいと思います。
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